彼女が○○になった日
それは、エクスフィア回収の旅を初めて間もない頃の事だった。
「ロイド……起きてぇ〜」
なんだか、コレットが泣きそうな声でオレを起こそうとしているような気がする・・・・
「お願い、起きてぇ〜!」
体を揺さぶられかすかに瞼を開くが、睡魔と重力に負けてすぐにまた閉じてしまう。
まだ、体が怠いし凄く眠い。
昨日の戦闘のせいだ。
ホーリーボルトとダークボルトを間違って使ってしまい、昨日はやたらとモンスターに襲われたのだ。
そういえば、その原因はコレットにあったような気もするが・・・
「起きてよぉ……」
もっとつよく身体を揺すられる。オレはなんとかもう一度、重い瞼をこじ開けた。
すると思った通りコレットの顔が目の前にあった。オレとは一歳年下の小柄で華奢で、ものすごく可愛いコレットの顔。
・・・言っておくがひいきじゃないぞ。誰が見たってコレットは凄く可愛いんだ。
「どうしたんだ・・・」
「ロイド! たいへんだよ〜!!」
怠くて眠い体にムチ打ち何とか起きあがらせた上半身にコレットはいきなり抱きついてきた。
オ、オイオイ! いきなりそんなにくっつかれるとオレにも心の準備がっ! ああっ!!でもなんか凄くいい匂いがする・・・。
昔と違って体つきも大人になりつつあるコレットにいきなり抱きつかれると・・・その胸とかが体に当たるんで・・・なんというか・・・実を言うと凄く嬉しかったりする。
幼なじみとはいえ一応オレは17歳の男の子だしな。
ん?そこ!! ゲーム中じゃ乙女の意味もわかんなかったくせにだって!?
あの後、さんざんクラトスから説明を受けたんだよ!! それこそ耳にタコができるくらい!!
おかげで今じゃ年相当の知識は持ってるんだぞ!!
と、話を戻そう。
オレは普段と違うコレットの様子に気が付き、抱きつくコレットの顔を上からそっとのぞき見た。
いつもはニコニコしている顔がなぜか泣きそうな顔になっていた。だけど、そんな表情もまた可愛いと思ってしまう。
そうそう腰まで伸ばした金髪が凄くよく似合ってて。その頭を撫でるのが実は最近の隠れた楽しみだと言うことはまだヒミツだ☆
オレは思わず胸に埋めれた柔らかな金髪を撫でようと手を伸ばし
そして気づいた――
撫でようとした頭に何故か、耳があることに。
「へ?」
そりゃ、頭に耳があるのは変でも何でもない。オレの頭にだって左右に耳がちゃんとある。
もちろん、コレットにだってオレと同じ位置に耳がある。
だけどそれとは別に・・・頭の上にイヌ耳があるのは・・・・どういう事だ??
「もしかしてコレット・・・大変な事って・・・」
「朝起きたら、ついてたの・・・」
思いもしない事態になんと言っていいかわからず、オレは思ったことを口に出してみた。
「・・・凄く似合ってるよ。」
「褒められても嬉しくないよ〜!!」
コレットの叫び声が狭い部屋に木霊する。
その叫び声でオレはやっと怠さと眠気から解放されたような気がした。
続く