彼女が○○になった日 




 コレットの頭に生えていたのはゴールデンレトリバーのような垂れたイヌ耳だった。  
 
 「これ本物なのか?」
 
 当たり前だが、普通の人間にイヌ耳なんて生えてくるはずがない。4/1はあと半年以上も先のことだが、もしかしてこれはオレを驚かせるためのイタズラなんじゃ・・・。そう言えばコレットは自他共に認める大のイヌ好きだったし。
 そう思い、オレはコレットのイヌ耳を観察しながら触ってみた。
 こーゆー類の耳はたいていカチューシャみたいな取り外し式になっているはずだ。
 だが、オレの考えは甘かった。 


 「つ、継ぎ目がない・・・」
 
 イヌ耳はコレットの頭に、直にくっついていた。
 どういう仕組みになっているのか、何度触っても継ぎ目がわからない。
 ・・・もしかして本物なのか!?
 思わずオレはコレットの耳を強く握り閉めようとした。
 
 「きゃっ!!」
 「わわっ!?」

 突然コレットが叫んだ。耳に触られるのが嫌なのかブルブルと頭を左右に振るう。
 決定的だった。どうやら痛覚もあるらしい。

 「ロイド、耳握ろうとしたでしょ!? 痛かったよ〜」
 「ご、ごめん」

 謝りながら、オレはもう一度イヌ耳を触ってみた。
 さらさらでふわふわの毛の感触は、どう見ても本物のイヌ耳だった。
 どういう理由かはわからないが、イヌ耳は直にコレットの頭から生えているらしい。 
 
 「ロイド、私これからどうしたらいいんだろ〜」

 コレットはそれこそイヌみたいにうるうるした瞳でオレをを見上げいる。
 オレは腕組みして考え込む。確かにこれは深刻な問題だ。
 
 コレットにイヌ耳がついたとしたら・・・・・・・誰か困るヤツいるのか?
 むしろ、コレットの可愛さ25%増って感じじゃないか!


 「コレット、そのイヌ耳は凄く良く似合ってるって思うんだが」
 「ロイドのバカァ!」 
 
 オレは真剣な顔で意見を述べると、コレットの見事な右手打ちが頬にクリーンヒットした。
 ドサッとオレはそのまま再びベットの中へ倒れ込む。
 薄れゆく意識の中でオレはイヌ耳をフルフルと振るわせ泣いてるコレットを見た。
 その姿は思わずギュッと抱きしめたくなるくらい可愛かった。

 

 


 結局コレットはその日一日をイヌ耳のまま過ごすこととなった。
 最初はすごく恥ずかしがっていたコレットだったが、半日もすれば慣れたのか普通にその姿で買い物に出かけたりしていた。
 周りも、あまりにイヌ耳がコレットに似合っていたのか誰も違和感を感じている様子はなかった。





 そして次の日。

 「ロイド、まただよ〜」
 
 今日もオレは、コレットの泣きそうな声で起こされた。
 目が覚めた俺の前にいたのは、昨日と同様、イヌ耳が生えたままのコレットだった。

 もしかしたらと予想してはいたが・・・・
 「あちゃ〜」とオレは頭に手をやりボサボサの髪を掻くと、改めてコレットに目をやった。
 コレットも起きたばかりなのか、オレと同じパジャマ姿で、そのズボンからはちょこんと苦しそうにシッポのふさふさの毛が見えていた。
 
  コレット+パジャマ+イヌ耳&シッポ=激萌え

 オレの中で一つの方程式が一瞬のうちにできあがっていた。
 はっきりいってここまでやられると、もう反則と言ってもいいだろう。
 一サイズ大きめのダボダボのパジャマから、ちょこんと出た小さな手がまた愛らしくて。
 思わずこのままギューっと抱きしめたくなる衝動を抑えながら、オレはベットから身を起こした。

 「今度はシッポが生えてたよ〜」
 
 コレットは今にも泣きそうな顔でオレを見つめている。
 ますますコレットを抱きしめたくなる衝動を、神の域に達する精神力で何とか抑えたオレは、コレットに尋ねた。

 「それも本物なのか?」
 
 尋ねるオレにコクリと頷くと、コレットは何を思ったのかいきなりズボンを脱ぎ、お尻をこちらの方に向けてきた。
 
 「コレットォ!? ちょ、ちょっとまて!!」
 
 大きめのパジャマの裾からはお尻と真っ白なパンツがほんの少しだけ見えていて。オレはコレットの大胆すぎる行動に思わず叫んでいた。
 
 (オ、オレ達恋人だけどいきなりそこまで・・・以外と大胆何だなコレット)
 などと混乱しまくりなオレの妄想をむろん知るはずもなく、コレットはお尻をこちらに向けたまま恥ずかしそうに呟いた。

 「あのね・・・実は、はまだ怖くて調べてないの。ロイド、私の変わりに・・・調べてくれる?」
 
 後ろからこちらを振り返るコレットの顔は、恥ずかしさのためか真っ赤になっていて、もう鼻血が出てくるほどツボだった。

 「あ、ああ。わかった」
 
 オレはゴクリと息を呑むと、そっとパジャマの裾をまくり上げてみた。
 お尻の少し下の方から、柔らかい毛皮につつまれた茶色のシッポが伸びていて。
 予想通り、シッポはコレットのお尻から直に生えていた。 
 
 ・・・今気づいた。シッポが生えたせいでパンツがずり落ちそうになってる。
 たぶん、ちょっとでも触ればズルッと落ちてしまうくらいに。
 ・・・・ダメだろ! いくらオレでもそんなことしたらコレットに嫌われる!!
 オレはブルンブルンと首を大きく振るい邪な心を振り払い、まじめな顔でコレットを見た。
 
 「やっぱり、直に生えてるみたいだな。耳みたいに痛覚とかもあるのか?」
 「たぶんあると思う。ロイド・・・触ってみてもらえる?」
 
 オレはゆっくりと手を伸ばしコレットに生えたシッポに触れてみた。
 それは凄く柔らかくて、フワフワしていて、最高の手触りをしたシッポで。
 余りの手触りの良さに触るだけではもの足りず、シッポをそっと撫でてみた。
 
 「あぁ・・ん」
 
 今まで聞いたこともない甘いコレットの声が部屋に響いた。
 言った本人も恥ずかしかったのか慌てて口を手で押さえている。
 
 「あ・・・その・・・ごめん」
 
 なんと言ったらいいのかわからず、オレは何となくコレットに謝っていた。
 コレットはしばらく恥ずかしそうにモジモジした後、顔を真っ赤にして、こちらを振り返った。
 オレも顔が真っ赤になっていて、お互い下を向いたまま、しばらく沈黙が続いた。
 
 <<ドキ・・ドキ・・ドキ・・ドキ・・ドキ・・>>

100メートル走を全力疾走したかのように心臓が凄い勢いで動いる。
 余りの静けさで互いの鼓動の音が聞こえるようだった。
 



 続く

  
 次の話はロイコレで18禁な内容になっています