秘密3


それは鋼鉄のごとく堅い意志を持った男の、ホンの気まぐれだった。


クラトスはある一軒の宿の前にいた。

(この宿にロイドがいるのか・・・)

ただ一目、愛する者に会いたいという思いに勝てなかったクラトスはそのまま宿へと入っていった。




そして・・・そこで目にしたのはテセアラの神子に組み敷かれた己のもっとも愛する人の姿だった。

「!!」

クラトスはらしくもないくらいに我を忘れ、ドアを蹴り破るように開くとベットの上のゼロスめがけて剣を振り下ろす。

が・・・

剣の軌道上にロイドがいきなり立ちふさがりあわててクラトスは剣を止めた。


「あぶね〜。ロイドが盾になってくれなかったらオレ様切られてたかも」
「なぜゼロスを庇う!?」
「クラトス・・・ゼロスを殺すなら、オレはあんたと闘う。」
「なにっ!?」

ロイドはそう言って立ち上がると腰に差した剣の束に手をかけた。緊迫した空気が辺りに流れる。
だがそれはゼロスの言葉であっけなく打ち砕かれた。

「親子同士が闘うなんて止めろよ、空しいだけだぜ」
「・・・・親子?」
「ゼロスなぜお前がそれを!?」

首をかしげるロイドとその言葉に慌てるクラトスの姿を、おかしそうに見つめながらゼロスはロイドに答えた。

「そうだ、ロイド。そこにいるクラトスはな、お前の本当の父親だ」

予想もしない突然の告白にロイドは目を大きく見開き、沈黙した。
束に触れていた手がゆっくりと下にすべり落ちる。
宙に浮いた拳を僅かに振るわせ、頭を落とし項垂れた姿勢でロイドは低く呟いた

「オレが・・・クラトスの・・・・息子」
「あいつはそれを分かっていてお前を抱いた。近親相姦か・・・天使のくせにずいぶんと罪深いな」
「それ以上しゃべるな!!」

その言葉がロイドのショックをさらに大きくする。
ロイドは頭を下げたまますべての感情が消えたような声でクラトスに訪ねた。

「母さんが死んだとき・・・どうして・・・オレを探してくれなかったんだ?」
「・・・・・・・」

クラトスは開墾を感じているのか、ただ唇を噛んで沈黙していた。

「簡単に諦められるほど・・・・オレのこと、愛してなかったんだな・・・・」
「違う・・・私は・・・・」

クラトスは必死で言い訳しようとした。だが、どんなに頭の中を探してもそれに続く言葉など出てこなかった。

「どんな言葉でロイドに答えても届かないぜ、クラトス。お前は現にこいつを見捨ててクルシスに戻ったんだからな」
「・・・・・ゼロス。」
「どんな気分だ。古傷をかきむしられるのは。心の傷って言ういうのは体の傷より深く響くだろ」

ゼロスはクラトスの首筋を優しく撫でその顔をのぞき込もうとした。
クラトスは怒りと憎しみ、焦燥と絶望、そして苦痛・・・すべてが入り交じった目でゼロスを睨んだ。

「お前は・・・何を・・・企んでいる」
「ふく・・・脱げよ」
「イヤだと言えば・・・・」
「この場でロイドを殺す」

ゼロスは一瞬で腰に差していた剣を引き抜き、それをロイドの首に当てる。
だがロイドはそれに抗うこともなく平然としたままだった。

「!?」
「ロイドはオレの順応な人形だ。オレが死ねと言えば死ぬ。抱かれろと言えば・・・素直に足を開く」
「貴様ぁ!ロイドに何をした!!」
「毎日毎日、有無を言わさず抱いて、犯してやっただけさ。」

滅多に見ないクラトスの我を忘れた絶叫に、ゼロスはクククッと笑うと手にした剣を下ろしロイドに指示を出す。

「ロイド、クラトスの両腕、後ろで押さえつけとけ」
「分かった」

ロイドは先ほどの悲痛の表情を消し機械のように冷たい声で返事をすると、命令されたとおりクラトスの腕を後ろで押さえつける。
あまりに早いロイドの動きにクラトスは抵抗などする暇も無かった。
ゼロスは拘束され身動きのとれないクラトスに先ほど抜いた剣の刃を見せつけると、それを勢いよく振り下ろした。

『殺される』クラトスはそう思った。

だが・・・・


ビリ、ビリビリッ!

「脱がせるのもいいけこういうのも好きだぜ。強姦っぽいし」

などと言いながらゼロスは剣でクラトスの服だけを器用に切り刻んでいた。





ベットに座ったゼロスはクラトスのヌードをネットリとした視線で見つめると股間の中心を指さした。

「んじゃ、まず最初にオレのここ舐めてもらおうかな」

思わずクラトスはそこから目を離した。

「そんなところ舐められるか! 」

反抗的なクラトスの態度にゼロスはさして怒りを感じている様子もなく、クラトスの後ろで腕を掴んでいたロイドに目をやった。

「ふ〜ん。じゃあ、ロイド。お前、手本になって舐めてみろ。いつもみたいにな」
「分かった」

ロイドは頷くと、クラトスの腕を解放しゼロスの元へと近寄った。
そして膝を折り、ゼロスのズボンとブリーフを下ろすと横たわったままのペニスに手をやる。
顔を少し赤らめ持ち上げたペニスを愛おしいそうに口に含むと、たっぷりと唾液を含ませ舌を絡み始めた。

クチュ・・・ペチャ・・・・ペチャ・・・

部屋中に卑猥な音が静かに響き渡った。
段々と堅くなるそれを手と口で上下にさすり、器用に舌を動かし刺激する。
ロイドの献身的な奉仕でゼロスのペニスはむくむくと天井を向いていった。

「よ・・し。その辺でいいぜロイド。」

息を少し荒げながらゼロスはロイドの髪を引っ張り、射精直前で奉仕を止めさせる。
ロイドはそれを痛がる風も無く、最後に大きく舌でゼロスの先端を舐めると、透明な糸を残しながらそれを離した。

「今のでやり方は分かっただろう。やってみろよクラトス。・・・・言っておくけど拒めばどうなるかわかるな」

クラトスはゼロスの側にいるロイドに目をやった。
その目はどこか虚ろで、先ほどゼロスが言ったとおり、人形のようだった。
ロイドを盾にとられた以上、クラトスにはゼロスの要求を拒むことはできなかった。

「分かった・・・・」

先ほどのロイドと同じように膝を折ると、おそるおそるクラトスはゼロスの股間の中心へと口を近づける。
それが目と鼻の先と言うところまで近づいた時だった。
突然ゼロスに勢いよく髪を捕まれたかと思うと、クラトスは乱暴にペニスを含まされた。

「うっ!? うぐぐっ!!」

強引に口の中に進入した、生暖かい異物の大きさにクラトスは吐き気を覚える。
だが、そのようなことができる場面でも無かった。

「歯をたてるなんて事考えるなよ。ロイドも見てるんだ、せいぜいがんばれよ。」

上からかけられたゼロスの言葉に思わずクラトスはロイドを探す。
含んだモノを口から出さない程度に首をあげ視線を上の方にやると、冷たい目でクラトスを見つめるロイドがいた。

思わず涙が溢れそうになった。
これから始まるであろう最低の行為をもっとも愛する者の前で演じなければならないことに罪悪感と、嫌悪感を抱かずにはいられない。
ゼロスはそんなクラトスの心に気づきニヤッと笑う。

「そろそろ始めろ、クラトス」

ロイドの前戯によってそそり立ったペニスにクラトスは舌を這わせた。
手で全体を、舌で先端の特にカリの部分を中心的に舐め、時に吸い上げるように顎を動かす。
クラトスは己のプライドをかなぐり捨てて、ただ、一秒でも早くこのふざけた行為を終わらせようとした。

一方ゼロスは想像以上のクラトスのテクニックの前に早くも射精の限界が迫っていた。

「う・・・すげぇ・・・クラトスお前、初めてじゃないだろ・・・。クルシスの四大天使ってのは・・・フェラのテクまで一流なんだな・・・」

その言葉にびくっとクラトスは反応した。ロイドから送られる視線がより冷たさを増したように感じられる。
鈍くなったクラトスの頭を両手で掴むとゼロスは今度は自らの腰を動かし射精を促し始めた。

「うんんっ!!」

クラトスはのどの奥まで突き立てらるペニスに息をする事ができずもがく。

ドピュッ!

クラトスの息が限界を迎える寸前、ミルク状の青臭いにおいを放つ体液が口内や顔に勢いよく放たれた。
反射的にそれをはき出そうとするクラトスをゼロスは冷たい声で制止した。

「はき出すな。顔の周りやオレに残ってやるやつも全部呑むんだ」

クラトスは命じられるままそれを呑んだ。喉に絡みつく精子をむせかえりそうになりながらも飲み干すと手で顔に付いたモノをふき取り、それもまた舐めとり、ペニスの先端に付いた残りカスにも舌を這わせる。
すべての精子を飲み干した後、クラトスは床で猫のように四つん這いになりながら荒く息を吐いていた。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「んじゃ、次は・・・ロイド、クラトスのお尻の舐めろ」

ゼロスの隣にいた立っていたロイドは無言でこくりと頷くと四つん這いになっていたクラトスの側により、自らも同じ姿勢をとると、むき出しになっているお尻の中心にある蕾を舌で舐め始めた。

「ロ、ロイド!?」

クラトスは慌ててロイドを振り払うとゼロスを見た。

「な、何をさせる気だ!?」
「ここまできたら最後までやったちゃおうぜクラトス。あと、ロイドが舐めるのはオレなりの心遣いだから♪」

ふざけたようにケラケラと笑うその顔は、どこか冷たく冷え切っていた。拒否権など一切与えられていないクラトスは歯を噛み砕かんばかりの勢いで噛み締めていた。ロイドはクラトスが動かないことを悟ると、再び先ほどの行為を開始した。

ピチャ・・・ピチャ・・・

舌が這うたびにあがるその音はクラトスをよりいっそう興奮させ、辱めた。
お互いが獣の様に四つん這いになってのその行為はクラトスの理性を獣へと貶めていく。

「あ・・・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・」

ロイドは時間を掛けそこを丹念に舐めると、今度は自分の右の人差し指と薬指に舌を這わせ得た。
十分に湿らせるとゆっくりとそれをクラトスの中に突入させる。

「ああぁ・・・ん」

それは先ほどのくすぐったさとは違い快感に繋がる刺激だった。
思わずクラトスは自分の耳さえ疑うほどの甘い声を漏らした。
ロイドはクラトスの中をより慣らすべく上下左右に指を回していく。
指が動くたびに走る快感にクラトスは理性を保っていられず自ら腰を使い動かし始めていた。

「ああ・・いい・・・ロイド・・・・もっと」

自分に快楽を与えるモノが血を分けた息子だと言うことも忘れ狂ったかのようにクラトスは腰を振った。
だが、指はクラトスが絶頂を迎える直前に見計らったように引き抜かれた。

「ゼロス・・・そろそろ入れても大丈夫だと思う」
「ん・・ご苦労さんロイド。お前は後で可愛がってやるから」

ロイドは機械の様にピタリと動くのを止めると、その場をゼロスへと譲った。
クラトスの慣らされた蕾にゼロスのペニスが押し当てられる。
快感に酔っていたクラトスの心はすぐさま現実に戻り、必死になってそれを拒もうとした。

だが

ゼロスのペニスは何の抵抗もなくクラトスの中に収まっていった。

「ああああっ!!!!!」

臓器を圧迫される苦しさに、擦れあう前立腺のからの快楽にクラトスは絶叫した。

「すげ〜締め付け。」
「あぁ・・ぁ・・いあぁ・・・いたい・・・ぬいて・・・くれ」

痛いと口では言いながらクラトスの体は快感で打ち震えていた。久しぶりに味わう太く堅い刺激に早くも絶頂を迎えかける。
だが、それはゼロスの手によって阻まれた。

「おっと。ここからが楽しみだって言うのに、一人で勝手にいくんじゃぁねえよ」
「いやぁ・・・手を・・離せ」
「オレがイキたくなったら離してやるって。」

ゼロスはクラトスのペニスを潰さない程度に握ると器用に腰を動かし始めた。

「あっ、はあ、あ、んっ・・・」
「もっと、気持ちよくしてやるぜ!」

パァン!! パァン!!  パァン!!

腰を強く打ち付けられ、クラトスの汗が辺りに飛び散っていく。

「あああっ!」

クラトスは堪え切れず、シーツに顔を押しつけた。
流れた涙がシーツにシミを作る。

「うっ、すげぇいい・・・」

ゼロスの呼吸が荒くなりはじめ、それにつれて、腰の動きも徐々に速くなる。
クラトスの開いた唇から、絶えず吐息混じりに艶のある甘い声が洩れた。
快感に乱れ、うっとりとした表情は、ぞくりとするほど色っぽかった。

「俺さまもそろそろ・・・」
「あっ・・・あっ・・・」

ゼロスは特に、クラトスが乱れ始めたその箇所を中心に攻め続ける。

「あっ・・・っああっゼロス・・・」

クラトスにはもう他のことなど何も考えられなかった。

「いっ・・・あっ・・・ああっ・・く・・・あぁ・・・!!」
「そろそろいいかな」

そういってクラトスのペニスを握っていた手を離す。

「あっあっ・・・うっ・・・ん・・・も・・・いっ・・・くッあっはぁアアっ!」

おしよせる快感の波にさらわれ、クラトスは、腰から脳まで熱く溶けていくような快感に襲われた。
ペニスは勢いよく精液を吐き出し、床に水たまりをつくる。
激しく身体を痙攣させ、意識を失いかけるが、まだ自分の中で動き続けるゼロスはそれを許しはしなかった。

「オレもイクッ・・・」

絶頂を迎えたクラトスの体はゼロスのペニスを強く締め付けていた。
ゼロスは快感を味わい尽くし、低い呻き声とともに、どくどくと熱いものをクラトスの中に流し込む。
狂いそうなほどの強い快感の中、クラトスはいつの間にか気を失っていた。










意識を失ったクラトスに興味を無くしたゼロスは部屋を出て行っていた。
崩れ落ちるように気絶したクラトスの体に柔らかな毛布が掛けられる。
暖かい毛布の感触に意識を取り戻したクラトスはだるい体を起こし毛布を掛けた人物をみた。

「ロイド・・・・」

ロイドは無表情でクラトスをジッと見つめていた。
ゼロスとの痴態を目の前で見られたクラトスには今のロイドにかける言葉は何もみつからなかった。
だがせめて毛布を掛けてくれたことの礼を言おうとした。

「ありが」
「クラトス・・・オレを捨てたあんたを・・・・。オレは一生許さない」

その一言を残して、ロイドはクラトスの返事を待たず部屋から出て行った。

クラトスは一人、部屋に取り残されていた。
かつて、愛する者達を失ったときと同じくらいの絶望に捕らわれながら・・・






END